女優の箪笥室井 滋
ぴあ 刊
発売日 2005-09
室井滋は、うなじ美人。 2005-12-01
室井滋といえば、「自主映画の女王」であり、「やっぱり猫が好き」の次女・恩田レイ子であり、『居酒屋ゆうれい』で日本アカデミー・ブルーリボン・キネマ旬報の助演女優賞をトリプル受賞した個性派バイプレーヤーであった。それが、ついにというか、まさかというか、井筒和幸監督『のど自慢』では演歌歌手・赤城麗子をみごとに演じ切り、日本アカデミー賞優秀主演女優賞に輝いてしまった。しかも、処女作『むかつくぜ!』が100万部を超えるエッセイストとしてもちゃっかり活躍しているではないか。いやはや、実に多才な人である。
さて、その室井滋が、興味深い本を出した。自慢のうなじを存分に見せつつ着物について語る、この対談集だ。まず、巻頭エッセイで披露している、行きつけの喫茶店に和服美人が入って来たとき、居合わせた客全員がシーンとして見惚れてしまったと明かすエピソードが印象的。やはり文章がうまい。室井滋は対談ごとに着物、ヘアースタイルを変え、写真も盛りだくさん。
対談相手は7人。以前は着物を500着は持っていたと振り返る、都はるみ。小さいときから着物が身近にあったため国税局時代に着物屋の脱税を暴いた、山村紅葉。少女時代、舞妓さんに憧れていた、奥菜恵。着物以上に猫トークで盛り上がる、フジ子・ヘミング。自称・着物普及委員会長、若村麻由美。「着物はやっぱり楽ね」とのたまう、加藤治子。そして、室井のスタイリング担当、宮本まさ江。
個人的には若村麻由美のファンなので、薄茶の濃淡に秋の七草が手書きされた結城紬をまとった彼女の、日舞仕込みの所作に魅入られた。渋谷・数奇屋金田中、目黒・雅叙園、銀座・吉水など、着物を引き立てるロケーションも見もの。
着物に思い入れのある人たちが、お気に入りの一枚に手を通し、室井の気さくな合いの手に乗っかって、着物や仕事、プライベートについて気軽にトークする。いや、これは楽しいです。
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